5、You let me fly so high.






「キリング中将と何を話した?」

「…………」

「私の事であろう?」

 執務室へ戻ったマ・クベを待っていたのは、やはりキシリアの追求だった。

「中将に迷惑をかけているのは判っている。だが、私は、それでも自分の望み通りに生きたいのだ」

 マ・クベが無言なのを見て、キシリアがそう苦しそうに言った。大好きな人に迷惑をかけたくないという思いと、自分の願い。それが相反する苦しみに、胸が潰れそうになる。

「お覚悟はおありですか?」

 そんなキシリアを見て、唐突にマ・クベがそう言った。

「え?」

 キシリアがマ・クベを見ると、マ・クベはキシリアを試すような、探るような冷たい瞳で見ている。情を捨て、キシリアを冷静に見極めようとしているのだ。

「人を傷つけても、自分が傷ついても、どんな困難があっても、やる『覚悟』ですよ」

「……ある!」

 マ・クベの静かな声に、キシリアが力強くそう言った。

 キシリアの視線と、マ・クベの視線がぶつかった。氷のように詰めたいマ・クベの視線が、キシリアを探る。キシリアは目を反らさなかった。固い決意を持って、マ・クベを睨むように見返す。

その瞳は、いつか庭でマ・クベを欲しいと言った時のように壮絶で美しかったが、今はあの時と違って、現実を知った上での重さがある。

「でははっきり申し上げます」

 死刑執行人のような厳しい声で、マ・クベは言った。

「貴女が今しているのは、誰にでもできるようなつまらない仕事だ」

 あまりに非情なマ・クベの言葉に、キシリアが一瞬言葉を失う。

「最初から重要な仕事を任されるとは思ってはおらぬ……」

 内臓から絞るような声で、苦しそうにキシリアは言った。どんな大言壮語を叩こうとも、自分の現実はこれなのだ。判ってはいるが、改めて突きつけられ、悔しさと絶望が滲んだ。

「違います。ここは流刑地だ。ジオンの使えない人材とつまらない仕事が送られてくる墓場です。こんな所にいてもいつまで経っても出世できない。貴女がいる所はそういう所です」

 キシリアの甘い考えを切り捨てるようにさらにはっきりとマ・クベがそう言い、キシリアの表情を伺った。

「薄々判っていたとは思いますが」

「……判っていたよ。とっくにな」

 寂しげな微笑を浮かべ、キシリアがそう小さく呟いた。

 最初の頃は、まだ望みがあった。だが、それは知らないだけだったのだ。経験を積み、いろいろな事を知るたびに、いかに自分が絶望的なところにいるのかが判ってきた。

 だが、それでも負ける訳にはいかない。望みは絶対に捨てない。

「だが、私は諦めない。馬鹿な事を言っているというのは判っている。私ごときが父上に逆らえるわけがない。だが、私は諦めない」

「よろしい!」

 キシリアがそう言うと、不意にマ・クベが声を上げた。満足そうに微笑み、ぱちぱちと拍手をしている。

「よく仰いました、キシリア様。私が聞きたかったのは、まさにその言葉です。貴女が今どこに居るかなど、関係有りません。必要なのは、そのお覚悟です。その覚悟さえあれば、貴女は必ず夢を叶える事ができる。逆に、貴女がどんなに高い地位に居ようと、その覚悟がなければ挫折した事でしょう」

「マ・クベ……」

「嘘だとお思いですか? 例え貴女が今回は軍を辞めさせられたとしても、それで終りではない。そのお覚悟がある限り、幾らでも返り咲きをする事ができる。貴女がもうだめだと思った瞬間が、貴女が負ける時です。貴女さえそう思わなければ、いつかきっとチャンスをきっとモノにできる!」

 正面からキシリアの瞳を覗き込むようにマ・クベが言った。思いもよらぬマ・クベの熱い言葉に、キシリアが戸惑う。

「以前、『そんなつまらない生き方をするな』と仰いましたね?」

「言った……」

「私を巻き込んだ責任を果たしてもらいますよ。私はもう、『その気』なのですから」

 キシリアの肩を抱いたまま、マ・クベがそう続けた。意味深ににやりと笑う。

「私は、引退して美術品と読書三昧という未来を捨てて、貴女に賭ける」

 マ・クベのその宣言を聞いて、キシリアの目が丸くなった。キシリアの驚きを楽しむように、マ・クベが恭しく片膝をつく。

「今日から、私は貴女に忠誠を誓います」

 慇懃にそう言い、キシリアの手を取って、そっと口付けた。中世の騎士が貴婦人にするように恭しく厳かに。

 あなたに従うという、服従のキスを。






「当然ですが夢が叶うのは早い方がいい。私の都合もありますしね。貴方が軍を追われた場合、私はデギン公に逆らったのですからただじゃおかれないでしょう。なんとしても貴女には成功して頂かなければ、私の身が危ない。貴女には何でもして頂きますよ?」

 立ち上がり、腕を後ろに組んだポーズで、うろうろと部屋を歩きながらマ・クベがそう言った。そうしながら、頭の中ではこれからのことについて幾十ものパターンを考えているのだ。

「もちろん! 私はお前の主人たるに相応しいと認めてもらったということだな?」

「そういう事です」

 キシリアが嬉しそうにそう言うと、マ・クベはちらっとキシリアに視線を投げかけてそう言った。

「私が、貴女をジオンの女王にしてみせましょう」

 キシリアの前に立ちふさがり、いけしゃあしゃあとそう言って、気取ってお辞儀をしてみせる。

「クイーン・メーカーという訳か、面白い」

キシリアも面白がって手を叩いた。こんな絶望的な環境の中で、図太いというか、何というか、二人は異様なほど望みを失っていない。

「私は、ここに来た事をそんなに悪い事だとは思っていない。私はここに来たからこそお前に出会えたし、いろいろな事を学べた。もし私が恵まれた環境にいて、私の周りがつまらぬ部下ばかりだったら、私は仕事を遊びとしか思わなかっただろう」

 キシリアが真剣な瞳でそう言った。その言葉を聞いてマ・クベの薄い唇に笑みが浮かぶ。

「貴女はすぐに私を追い越し、もっと高くまで行くでしょう。貴女にはその素質がある。貴女のスタート地点は、他の人のゴールなのです。貴女は恵まれている。それを忘れてはいけません。だから貴女はもっと高くまでいかなければいけない」

「判った。人の上に立つからには、私に従ってくれる全ての人への責任を負う」

「貴女にえり好みしている余裕はありません。親の七光りといわれるのはお嫌でしょうが、頂いた階級は、ありがたく使わせてもらいましょう」

 ジオンの軍服は、上着の模様で階級がわかるデザインになっている。そう言って、マ・クベの指がキシリアの胸のあたり、金糸の刺繍をぴんと弾いた。

「やはり、私とお前の相性は最高だ! 私の翼の下を吹く風がお前だから、私は鷲より高く飛べる」

 キシリアがそう叫び、嬉しさのあまりマ・クベに抱きついた。この頼れる男が、無条件で自分の味方なのだ。同じ夢を見て、キシリアを支えてくれるのだ。

 私に何ができるだろう?

 キシリアがそう思ったが、今は何も思い浮かばない。

「お前に心からの感謝を、マ・クベ」

 そう言って、キシリアがマ・クベの両頬に心をこめてキスをした。自分がマ・クベにしてやれるのは、今はこれだけしかない。せめて、心からの感謝の意を伝えたい。

 滅多に賜る事のできぬ公女のキスに、マ・クベがまんざらでもなさそうに笑った。






「以前、貴女が一ヶ月やっていた仕事を、私が数時間で片付けた事がありましたね。私は別に魔法を使ったわけではない。一人でやらずに、別の誰かに指示を与えてやらせたのです。貴女は、貴女にしかできない事をしなければならない。全てを自分でやろうとするのは、あなたの悪い癖です。些末事は人に任せなさい。貴女がやらなければならない事と、そうでないことを見分けねばなりません。物事の優先順位をはっきりとつけるのです。また、貴女が考えた事を実現するために、あなたの手足となる人材を見つけるのです。貴女が何をしたいのか、まずはそれが重要です。それをどう実現していくかは、私が考える。大切なのは明確なビジョンです」

 キシリアが神妙に椅子に座り、その前をマ・クベが腕を後ろに組んだポーズで行ったり来たりを繰り返しながら、まるで授業をする先生のように言葉を連ねている。

「つまり……、私があれが欲しいと言えば」

 キシリアが、デスクの上のワインを指差した。先ほど、祝杯だと言って開けた残りだ。

「私がそれを取ってきます」

 マ・クベがそう言いながら、ワインをグラスに注ぎ、キシリアに手渡す。

「私は、何が欲しいのか考えなければならない?」

「そういう事です。どうやって取ってくるなどの細かい事は私に任せればよろしい」

「判った。次の教えは? プロフェッサー」

 キシリアは冗談めかして言ったが、それを咎めようとせず、マ・クベは言葉を続ける。

「今、貴女が置かれている状況は非常に厳しい。早く手を打たないと、貴女はここよりももっと閑職へ、私は退官へ追い込まれる」

 おもわずしゅんとしかけたキシリアをちらりと見て、その目の前で立ち止まった。

「だが、可能性が無いわけではありません」

 何だ? とキシリアがマ・クベに目で問い掛けた。

「貴女にもお味方はいます。キリング中将です」

「キリングおじさまが!」

 信じられない。というようにキシリアが目を丸くした。キリング中将は、公王にキシリアを辞めさせるようにと言われている本人なのだ。そのキリング中将が、公王の意向に逆らって、自分に味方してくれるというのは、にわかに信じ難かったが、キリング中将の人となりや、マ・クベの自身有りげな口調が嘘ではないと告げていた。

 ありがたさに、思わず涙が出そうになる。私はいろいろな人に支えられているのだと勇気が湧いてきた。

「だが、表立って頼る事はできません。中将は貴女のお父上から、貴女を辞めさせるように言われています。ですが、きっと中将は影からキシリア様の後押しをしてくださるはずです。中将を信じて、私と貴女は、今できる事を百二十パーセントの力でやらなければなりません」

 マ・クベはキリング中将が言ったもう一人の協力者(キリング中将によるとかなりの地位にいる人らしいが)の事はまだ伏せた。確実で無い事を今は言うべきではないと判断したのだ。その代わり、マ・クベがキシリアに厳しい現実を突きつけた。だが、マ・クベの言葉は、キシリアを絶望に突き落とすために言ったのではない。現状を再確認し、そこから這い上がるためにどうするかを考えるために言ったのだ。

「判った。お前と私は、運命共同体という訳だな」

 キシリアが、キリング中将に感謝しつつ、新たに決意を固めて頷いた。自分がこければ、自分だけではない、マ・クベにも、恐らくキリング中将にも迷惑をかけるのだ。プレッシャーは有ったが、誰かが味方してくれているというのは、それ以上に心強かった。

「フフフフフ」

 マ・クベの顔を見て、キシリアが楽しそうに含み笑いをした。

「なんです」

 マ・クベがキシリアのおかしな行為に眉をひそめると、キシリアが行儀悪く、椅子の上でうーんと伸びをした。そんな行儀の悪い仕草も、不思議とキシリアがすると様になっている。

「楽しくなってきた」

 そう言って、マ・クベを見てにっと笑った。

「本当はな、朝、とても、胃が痛くて……。特に、休み明けは最悪だ。情けないだろう?でも、お前がいるから明日からは平気だ」

 こんな情けない事、絶対誰にも言えない秘密だと思っていたのだが、マ・クベにはあかしてもいいと思った。出会った頃は、こんな事を言うと、見捨てられると怯えたのだが、今はもうマ・クベに自分の弱い部分を見せても平気だと思えるほど絆が強まっている。

「お迎えに行きます」

「え?」

「朝、貴女をお迎えに行きます。朝の時間は貴重でしょう? 通勤時間も無駄にできません」

「うん、そうだな、そうしてくれると助かる」

 何を言ってるのだ。とマ・クベが思うより早く、言葉が口に出てマ・クベが自分で言った言葉に驚いた。これは、部下というにはあまりにも過剰に肩入れしすぎている。

 どういう事だ!? と少しパニック状態になった。何か聞かれでもしたら、勢い余ってもっと変な事を言いそうな気がしたが、幸いにもキシリアは、マ・クベを見ずに目を伏せて助かると言っただけだった。

「マ・クベ」

 キシリアが伏せていた視線を上げ、マ・クベを見つめた。

「なんですか?」

 妙に優しい気持ちになって、マ・クベの方もそう言う。

「優しくしてくれて、ありがとう。感謝している……とても」

 そう言ってキシリアがはにかんだように微笑んだ。

 ひねくれ者の部分が「仕事ですから」と言おうとした言葉は、よってたかってマ・クベのほかの部分に押し込まれ、口から出ずに飲み込まれた。

「私の夢を聞いてくれるか?」

 照れくさい言葉を聞いてもらって、もう勢いだ! とでも思ったのか、キシリアがそう言った。

「ええ。聞かせてください」

「そうだな、何から話そう?」

 マ・クベが頷くと、キシリアが楽しい悩みに悩まされながら、かすかに微笑んで顎に手を当てた。

「……そなた、モビルスーツを見た事がありますか?」

 ぴんと来るものを思いついたのか、不意にキシリアがマ・クベのほうを振り向いてそう話を振った。

「モビルスーツ? ああ、あの二足歩行ができるというやつですか? いいえ、見たことはありません」

「その口調は馬鹿にしているな。でも、凄いのだぞ。お前も見たらすぐに判る。初めてあれを見たとき、私は感動すら覚えたよ」

 マ・クベの声に含まれる、なんとなく胡散臭いと思っている雰囲気を感じて、キシリアが少し拗ねたようにそう言った。一部の技術屋が実戦投入を目指しているといはいえ、まだまだ一般には、二足歩行の機械は、空想だけのものという考えが根強かったのだから、マ・クベがそう思うのも仕方がない。

「私はな、あれを早急に戦いに投入する事が勝敗を決めると思っている。銃や戦車の発明が古代地球の勢力図を変えたように、MSは、戦いの方法そのものを変える。大型船艦による戦いから、MSによる白兵戦へシフトチェンジすると考えているのだ」

「ほう……」

 正直、見たこともない人型の機械の話から、そこまでキシリアが考えているとは思わなかったので、少し感嘆してマ・クベが相槌を打った。

「私は強力なMS部隊を作りたい。我々はMSの開発に先んじている。これは大きなチャンスだ。数において劣る我が軍にとって、勝つためには、MSを実戦部隊に投入するしかない」

 きらきらと目を輝かせそう言いきった後、キシリアががっくりと肩を落とした。

「なんて、今の私には夢のまた夢だけど……」

 キシリアの様子に、大丈夫ですよ、とマ・クベが声をかける。

「兄上達はなんと仰っているのですか?」

「ギレン兄上は、MSの可能性についてはかなり興味をお持ちだ。ドズル兄上は、MSについては否定的な考えを持っている。二人とも早期の実戦投入に関しては懐疑的なお考えだ。わが国に使える資源は少ない。負担の大きい新しい兵器の開発と投入に慎重になるのも判る」

 眉をひそめてそう言い、ふうとため息をついた。

「……でも、歯がゆい」

 ぽつりとそれだけ言い、唇を噛む。

「私なら、すぐにでもMSの実戦配備を急がせるのだけどな」

 兄達には力がある。だが、それを有効に活用していない。私には正しいと思う考えがある。だが、力がない。歯がゆさと悔しさがキシリアの全身を駆け抜ける。

「お前、私がこんな事言ったと誰にも言うのではないぞ」

 くるっとマ・クベの方を向き、少し厳しい口調でキシリアがそう言った。

「何故です? 私はキシリア様のお考えに感服しましたが」

「だって、こんな所で大した仕事をしてない私が、兄上に反抗してこんな大口叩いてるなんて恥ずかしいじゃないか! お前だから言ったのだぞ!」

「秘密にしておきますよ」

 くくく……。と笑いをかみ殺しているマ・クベに、キシリアが憮然とした顔をしている。

「でも、すぐに堂々と言えるようになってやる」

「そうそう、その意気です。その時はすぐに来るでしょうな。誰も、貴女を無視する事が出来ないようになる。私には見えます。誰もが貴女に平伏すのが」

「ありがとう……。お前だけだな、私にそう言ってくれるのは」

 キシリアがそう言って手を伸ばし、マ・クベの手をぎゅっと握った。そのまま腕を大事そうに胸に抱きしめ、手を頬に押し当てて目を閉じる。

「明日、抗議しに行きましょう」

 マ・クベの声に、キシリアの目が開いた。二の腕をキシリアの胸に抱かれたまま、もう片方の手でキシリアの頬を包み込む。

 キシリアが、黙ったままじっとマ・クベの瞳を見上げている。その一言一句を聞き漏らさないようにするために。

「あなたに嫌がらせをした奴らに、思い知らせてやるんですよ」

 そう言って、マ・クベが人の悪い笑みを浮かべた。マ・クベが優しいのは、私だけなのだ。やはり、こいつは恐ろしい奴だったのだ。とキシリアが再確認するような、マ・クベの攻撃が始まる合図だった。






 次の日から、人々は二人に関する妙な話を聞くことになる。

 キシリアとマ・クベが、あの時会議に同席していた仕官の執務室に入っていき、数分後退出した後に、必ず部屋の中から二人を呪う罵声が響くというものだ。あまりにも同じ事が繰り返されるものだから、ジオンのミステリーとして人々に知れ渡るほどだった。

 真相は、先日の復讐を兼ねて、強引に案件を認めさせたり、無理やり権限を奪い取ったりと、二人はまるでギャングのような事をしていたのだ。

 あちらがまともでない手を先に使ったのだから、こちらもそうさせていただく。とマ・クベはうそぶき、詭弁と脅しと正論を存分に使った、キシリアをマ・クベの二人の「口撃」に、纏まらなければ小娘に嫌がらせ一つできないような輩は、次々と撃沈していった。逆切れするやつはさらにこてんぱんにし、大抵はもう二度と逆らいませんとキシリアの横暴を認めた。

 とても公女が採るようなまともな手段ではなかったが、マ・クベには二つの思惑があった。一つは、ここでの権限を広げる事、もう一つは、例え悪評でもキシリア・ザビの存在を世に知らしめること。そうすれば、公王側も人目がある。あまり強引な手段は使えないはずだ。たとえ使われても同情票が集まる。

マ・クベの思惑通り、勧善懲悪めいたストーリーと、破天荒な公女というのは、人々の耳目を集めた。この時のキシリアとマ・クベのコンビは、まるで悪魔のように恐れられ、後々まで伝説として語られる事となる。

公女がどこかにいるらしい。といった知名度の低さから、キシリア・ザビの名をジオン内に轟かせ、キシリアの側にマ・クベありという事が、人々に最初に知れ渡った最初の出来事であった。




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