小石切丸が神隠しに遭いやすき気質あるかと思うこと
小石切丸は神隠しに遭いやすき気質である。三度神隠しに遭ったうち一番幼少の場合は、夜戦へ出たいと駄々をこねて石切丸にしかられ機嫌が悪かった。その上猫かわいがりしてくれていた青江が野戦で忙しくなり、愛情が薄れたように思っていたらしい。その日はしきりに石切丸に向かって神戸には叔母さんがあるかと尋ねたそうである。じつはないのだけれども加持祈祷に気をとられて、石切丸はいい加減な返事をしていたものと見える。加持祈祷を終えた頃にはもういなかった。ただし心配をしていたのは三時間か四時間で、幸いににゃっかりが連れて帰ってきてくれた。本丸を出て南に向いて一人で出て行くのを万屋の店員が見ていたという。どこへ行くつもりだったのかと尋ねたら、神戸の叔母さんのところへと答え、幽かに記憶しているのは、振りかえり振りかえり道を先導するにゃっかりの光景だけであとは全く覚えていないと言ったそうである。
終
元ネタ
山の人生(柳田国男)
神隠しに遭いやすき気質あるかと思うこと
2015.12.20 UP
発出 2015.12.20 https://twitter.com/kuma122_s
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