ペットのいる教室








 アタシは、ペットを二匹飼っている。


 豚には、変態を一匹飼っていると言ってある。

 変態には、実家に豚がいると言っている。


 MLSを卒業するまで、どちらとも上手くやっていくつもりだ。



 トーマス先生が、アタシのペットになりたいとあまりにしつこいので、面倒になって飼ってやる事にした。

 八つ当たりの相手や、退屈しのぎくらいにはなるだろう。


 飼ってやるにあたって、アタシの出した約束事がいくつか。


 一つ、キスはしない

 一つ、警察の厄介にならない

 一つ、学校では、アタシたちの仲を一切秘密にする


 一つ目は、アタシが生理的に嫌だから。体の相性さえ合えば、好きじゃない男と寝るのは平気だが、キスするなんて虫唾が走る。特にトーマス先生とは絶対に出来ない。基本的にアタシはこいつが嫌いだからだ。気持ちが悪い。

 二つ目は、こいつはとんでもない犯罪者の変態なので、面倒の防止と、アタシへの忠誠心を図るため。

 ずいぶんとしつこくアタシに飼って欲しいと言っていたので、まぁ、しばらくは、少なくともアタシが卒業するまでは約束を守るんじゃないだろうか。しかし、コイツは根っからの犯罪者なので、それもいつまで持つことか判らないけどねぃ。

 三つ目は、判るだろ? アタシは面倒が嫌いだ。教師と出来てると知れたらいろいろ面倒だし、しかもトーマスなんかと寝てると知られるのは死ぬほど嫌だ。


 実家の豚は、アタシが新しいペットを飼うと言うと、死にそうな顔をしていた。

 「その教師とも寝るんですか?」と聞くので、もちろんそうだと答えた。何のためにペットを増やしたと思ってるんだこの豚は。

 恋愛をするのならともかく、いちいち、欲望のはけ口に寝る相手を探すのはめんどくさいからねぃ。

 その夜は、豚は泣きながらアタシを抱いたのでうざったくてしょうがなかったが、何時もより激しかったので、まぁこんなのもいいかな? と思って許してやった。最近ちょっとマンネリだったから、新しいペットが良い刺激になったみたいだねぃ。

 たくさんキスさせてやったら、豚はますますアタシと別れるのが辛いと泣いたけど、アタシはその時、新しいペットの事を考えていた。


 優しい春の光が、教室に入る。

 熱心にノートを取るもの、寝てる奴、隣とこっそりおしゃべりする奴。

 アタシは、頬杖をついて見ていた窓の外から、教壇へ視線を移した。

 教壇の前には、教科書を広げる教師。

 そいつは、アタシのペットなのだ。

 「ペットのいる教室」

 ふと、そんな変な単語が思い浮かんだ。



20060918 UP

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