第一回さわやか禁魔法律家会議 二次会編








「今戻ったぞ」

「お帰りなさいませ、イサビ殿。アラ? ご友人をお連れ下さったのですか?」

「コンバンハ、奥さン。これ、つまらないものデスが、手作りの模造霊でス。汚い商売をしてルとお伺いしたので、おヤクに立てるとウレシイのでスが」

「わざわざありがとうございます。これは見事な悪霊ですねぃ。作った方のセコさとか性格の悪さがにじみ出てますよぅ」

「褒めていただき恐縮でス」


「ご、五嶺様、あれってティキじゃないですか?」

「カオナシさんだろぃ?」

「いや、ジャミラおじさんのコスプレをした変人じゃ。相手せずともよいぞ。飯を食わせたら帰らせる」

「モシモシ、聞こエていまスよ?」

「聞かせてるんじゃね?」

「イサビとは付き合い長いで、イサビがどれダけ過去に女を泣かせたかもヨク知ってまス。奥サンもオオゼイのうちの一人ニなると思うとカワイソウで」

「イサビ殿がどれだけ他の女と付き合ったかなんて知りませんが、沢山の女の中からアタシが一番だと仰ってくださるのは嬉しいですねぃ」

「ウッ……」

「おい、ティキ、やめとけって……」

「い、イサビは昔の女にもそんな調子のイイ事言ってたかも知れないでスよ? いいやイサビのことだからきっと言いましたネ」

「ぬしゃ死にたいらしいな……」

「イサビ殿の今さえ頂ければ、過去など他の女にくれてやってもかまいませんねぃ」

「陀羅尼丸、ぬしはそんなにわしの事を好きだったんじゃな♪ 怠け者は嫌いなどと言っておったくせに、内心ではそういう風に思っておったのか」

「こ、これは売り言葉に買い言葉で……」

「可愛いの〜」

「やっ、人前でやめてください。恥ずかしいじゃないですか!」

「なら人前でなければよいのじゃな? 続きは後でじゃ」

「…………」

「ほら〜。こうなるって判ってるじゃん。ティキ、お前が悪いんだから触手は仕舞いなさい!!」


「おニク美味しいネ」

「あんな事があってそれでも夕飯ご馳走になってるお前が信じられんぜ」

「春菊が美味しイからお肉とイッショに食べなサい」

「あっ、俺春菊嫌いだから勝手に入れんなよ!」

「健康に良いんだから食べナさイ!!」

「判ったよ……」

「しかしこの家も広いって言うかイサビさんご夫妻の鍋と俺たちの鍋の距離がすげ〜遠いんですけど。向こうかすんで見えるんですけど。すいませ〜〜〜〜ん、醤油いただけますかぁ〜〜〜〜〜。醤油もらうのも一苦労だよ」

「友達なのにこの避けようはヒドイよネ」

「誰のせいだと思ってるんだよ」

「しかし、イサビの嫁さんもやるね。あの側にいたブタ君、非常食だろ、あれって。しっかりしてるじゃん」

「俺は非常食じゃありません!」

「あ、醤油ありがとう福禄寿君」

「エビスです」

「……毘沙門天君、君、人間離れしてるけど地獄の使者じゃない? なんか地獄で会ったことない? 鼻青いけど大丈夫?」

「違います!! あとエビスです!! 鼻は生まれつきです!」

「突っ込んでくれる君はいい奴だなあ」

「五嶺様とかイサビ殿とか周りがボケだらけなんで」

「俺もなんかイサビ冷やかそうかな〜とか思ってたけど、真剣すぎて突っ込めねーんですけど」

「トウフに味がしみて美味しいヨ」

「キスもしてねーくせにこれは俺のものですオーラがすごい出てるし。お年頃になったらいろんな意味でどうなるのか怖いぜ」

「ホラホラ、お肉煮えてルヨ」

「お前も現実を見ろ……」

「……見せ付けてくれチャッてムカついたかラ、振られた腹いセに私も見つけるヨ、可愛い人形。心のスキマ埋めル」

「いや、お前の努力って、いつも間違ったほうに行くな〜。あ、イサビ、どうした? 嫁さんは?」

「陀羅尼丸は今からまた執行だとか何とかで出かけた」

「イサビ留守番なんだ……。ひょっとして帰ってくるまで待ってたりして」

「……別に。月を見ながら酒を呑みたい気分なだけじゃ。そうしてたらそのうち帰ってくるじゃろ」

「あの女はイサビをおいテ、別の地獄の使者に煉をやって呼ビ出してイル訳ダね。仕事でイッショにすごすうちに信頼が愛に変わッタりしテ。『奥サん、煉の代わりに貴女が欲シい!』『ダメ。アタシには夫が』って感じでほだされたリしてネ」

「ヘンな事言うなって。イサビもそんな嫌な顔すんなよ〜。ティキの悪趣味な冗談なんだからさ」

「……煉を他の奴にやった挙句、帰ってくるなりずうっと眠りっぱなしなのはおもしろうないし腹が立つ」

「あ、ほんとに気に食わなかったんだ、その事」

「よくも人の神経逆撫でしてくれたのう……」

「あ、俺、もう帰るね……。ごちそうさん。奥さんにもよろしく言っといて」

「あ、ワタシもおいとましマす」

「まぁ、待たんかティキ……。陀羅尼丸が戻るまでまだ時はある。気晴らしの相手でもしてもらおうかの。陀羅尼丸にあたると可哀想じゃが、ぬしなら遠慮なく存分発散できるからのう……」

「ヒッ……! 面はヤメテ。お願いだカら。面は。キィ〜ヤァ〜」










20070715 UP
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