「デハ、第一回さわやか禁魔法律家会議をはじめまス」
第一回さわやか禁魔法律家会議
「ウィーッス」
「…………」
「ちょっとぉ。久しぶりに集まったのにイサビの奴ノリ悪くね? 悪くね?」
「わしはティキが泣いて頼むからしょうがなく来ただけじゃ。興味ないのー」
「そこ、私語は慎むヨウに。この三人が数百年ぶりに再び集まったノハ、YMO再結成くらい凄い事デスヨ。自覚スルようニ」
「え? 凄さの基準がわかんねーよ」
「YMOとイウのは……」
「わし、帰ってもいいかのー?」
「いや、聞くから、聞くから泣くなよティキ。つかどうやって仮面から涙出るんだよ?」
「ネタを仕込ンできてよカった」
「ネタかよ! もう良いから早く始めろよ」
「今日の議題ハ、如何にして多くノ人間を恐怖に陥れルかデス」
「悪霊を送り込むとか?」
「それ、前やったのう」
「マンネリを打破スル斬新な意見を募集しまス」
「つかそういうお前の意見はどうなのよ、ティキ」
「ワタシはイサビと一緒なら何でもイイよ」
「俺はおまけかよ! 傷つくだろ!! んで、イサビは」
「ティキの奴がキモイから帰りたいんじゃけど」
「!!!!!!」
「ティキ、悪いが俺は慰めねェ」
「わし、今日の夕飯すき焼きだから帰るのー」
「始まったばかりなのにもうそんな理由で!? っていうかおまえん家いつ行ってもキノコじゃん、キノコしかないじゃん」
「わしの庵でではない。妻の家ですき焼きじゃ。言うておくがぬしらにキノコしか出さんのはめんどくさいからであって、普段はちゃんと食うとるわ」
「!!!!!!」
「妻!? いろいろ言いたい事はあるが吹き飛んだぜ!!」
「知らせて無かったから驚くのも無理ないが、コレじゃ。可愛いじゃろー?」
「言えよ!! 昔っからそうな、イサビ一人モテんのな! っていうかマジで超可愛いし。メンクイなの全然変わってないな〜。いや〜、お人形さんみたいじゃん、ていうか若! いくつよ?」
「数えで十四じゃ。言うておくがまだ手は出しておらんぞ。待つのも楽しみの一つじゃ」
「おい、どこの葵の上ちゃんですかそれは!? 男の夢じゃん!! 俺もこんな可愛い子に懐かれたい!!」
「気の強いおなごでの、ちょっと小言がうるさいが、泣くのも笑うのも怒るのも、もー何もかもが可愛ゆうてのー」
「えー、なんかいい顔しやがって! 幸せなんですかコノヤロー!! イサビに小言言うなんて、結構大物じゃね。ん? なんか寒いな」
「………………世界ナド滅びてしまえばイイ」
「いやいや、落ち着けってティキ。なんか出てるぞ。触手っポイの。しまえって。相手は人間のだし、イサビが遊び人なのは昔からだし。イサビだって人間のコドモ相手に本気じゃないだろ?」
「確かに最初は手慰み程度に思うておったが、今は違う。と言ったら?」
「マジで!? 相手人間だぜ!? 人間って弱くてすぐ壊れるし、すぐ年取って、すぐに死んじゃうんだぜ」
「……判っておるわ」
「最悪死ぬまでの何十年かガマンすればイイ……。いヤ、所詮人間と地獄の住人ナド、ウマクいくはずがナイ……」
「うおっ、どす黒いよお前! んー、でも、ティキじゃないけど。俺たちにとっちゃ人間は家畜みたいなもんだし、人間にとって俺たちゃバケモンだぜー? お互い踏み込んで嫌な思いする前に、楽しいうちで終わったほうがよくね?」
「人間ごとキが我々と共に生きられるはずがナイ。すれ違って傷ついて疲レるだけダ。一時の気持ちが冷めてしまえバ、同じヒトを選ぶにきまってイル」
「まぁティキが言うとアレだけど。確かに、大事に思ってるなら、適当なところで身を引いてやるのが相手にとっての幸せじゃねーか?」
「うるさいのー。そんな事わしが一番判っとるわ! でも嫌なんじゃ! 手放しとうないんじゃ」
「わがままなのも全然変わってねぇな!」
「もてない男はすっこんでおれ。わしは陀羅尼丸に人を捨てさせ地獄まで連れて行くぞ。今決めた!」
「ちっぽけなヒトはヒト同士が幸せダ!」
「陀羅尼丸はわしの女じゃ! 陀羅尼丸もわしを選ぶに決まっておる。アタシの夢とやらがあるらしいから今すぐにとは言わぬが……」
「最初の威勢のよさにくらべてだんだん声が小さくなっていってるところに自信の無さと迷いが現れてるな〜。イサビってさ、結構子供っぽいとこあるよな……」
「永遠の命に疲れテ自ら死を選んダ女を忘れたカ? 恨まれルに決まってイル! イヤ、そもそも同じヒトを選ぶに決まっていル。傷つクのはイサビ。これは親切心かラの発言でス!」
「そんなどす黒い親切心いらねーよ!」
「今のままこの幸せが続けばどれほどよいかと思う。じゃがこのままでは必ず失う時が来るのじゃ。人のまま愛するものを見送る者もおろう。それはそれで立派だと思うが、わしにはそんな事耐え切れん。その上生まれ変わって別の男の腕に抱かれる様な事があればと思うだけで気が狂いそうじゃ」
「そりゃそうかもしれないけどよ……。人間って心も弱いんだぜ? イサビと同じ体になったって、心がついてかねーでバランスが崩れれば、いずれ……」
「わしとて陀羅尼丸に永の苦しみを与えてしまうのではないのかという迷いは有る。じゃが陀羅尼丸はわしの選んだ女ぞ。陀羅尼丸ならば、わしと同じ高みまで来られると思うておる。人には重過ぎる業を背負わせる事になるが……。それでも」
「それでも?」
「それでも陀羅尼丸はわしを選ぶ。この通行証を賭けてもよい」
「クっ……。バカなッ。ワタシは信じなイ!!」
「ゲェー。めんどくさがりのイサビがいつになくマジなのに感動した! 俺そういうの結構好きだぜ! それだけの覚悟があるなら俺は止めない。つかこんな事勝手に決められてるとも知らず、イサビの嫁さん、今頃先にすき焼き食うか待つか迷ってんだろうな」
「馬鹿者! 陀羅尼丸はわしを待っているに決まっているじゃろうが!! そういう可愛い奴なんじゃ!」
「判ったからさ、全力でのろけんなよ……。少しはもてない男に気を使えよ」
「すき焼きにはキノコじゃろ。わしがいないと始まらんから帰るのー」
「いや、キノコくらいスーパーで売ってるって! つか無くてもいい」
「陀羅尼丸にわしのキノコを食べさせたいんじゃ!」
「幼な妻に自分のキノコを食べさせたいって言う山の怪の王ってどうなのそれ? ちょっと響きが卑猥っぽくねそれ」
「五嶺のハエめ!!! あンな小娘にワタシのドコが劣るとイウのカ!!」
「え? お前そんな残酷な事実を言えって言うの? 言ってもいいけど傷つくのはおま……」
「脳味噌まで腐ったか、ティキ? 阿呆かぬしは。陀羅尼丸に比べればぬしなどボツリヌス菌以下じゃ。比べるほうがおかしいわ!」
「言うと思ったけど言ったな」
「つうかぬしゃ腐っとる時点で終わっておる。酔っ払いのゲロと洗ってない犬の臭いがするんじゃ」
「それはちょっと言いすぎじゃね……? え? なんで喜んでる風なのティキ!? 苛められて嬉しいのか!?」
「罵られてしまっタ♪」
「もう人間を恐怖にとかどうでもいいよ。グダグダじゃねーか。イサビの幼な妻んちで俺もすき焼き食いたいよ」
「来るでない」
「あっ、露骨に嫌な顔をした。悩み聞いてやったじゃん! ちょっとは幸せ分けろよ」
「五嶺の泥棒猫メ……!!! ワタシのイサビを、ヨくも、よくモ……」
「と言いながらマイ箸を準備するのな、ティキ」
「ニク……。食べたイ。ずっと食ベテなイ」
「なんかかわいそうになってきたぜ、連れてってやれよ。悪いことしないように俺も付き添うからさ」
「だから来るなと言うとるじゃろ」
「じゃぁ結局イサビののろけと悩み相談になったけど第一回さわやか禁魔法律家会議はこれにて終了!」
「二次会はすき焼きでス!」
終
20070525 UP
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