日記に書いた妄想↓をもとにしました。


生まれた時は真っ白(アルビノ)で、目は何も見えないのだが、日の光に弱いだけで至って健康。ゴリョ様は「この子はずうっと常闇におるのか!」と結構ショックを受けるが、イサビは至って普通。「光輝く、燃える」という意味の迦具(火之迦具土神と同じ字)を名前に使う。
視力は無いが、オーラが判るので普通に生活できる。
視力の代わりに予知能力を備え、雨が降るとか、来客があるとか、「父様が××するけど怒らないでね」と普通に言い出してゴリョ様をびっくりさせる。
ある日、「母様、綺麗ねえ」と言われて、目が見えるようになっていることに気がつく。目が見えるようになったのを境に色がついていき、予知能力も無くなって普通の子(?)に。







「父様」

「んー?」

「母様が、迦具夜のせいで泣くよぅ」

「迦具夜はなぜ母様が泣くのか分からぬ。母様が泣くのは嫌。今も一人で母様は泣いておる」

「迦具夜に光が無いせいじゃ」

「そんなことで母様はなぜ嘆かれる?」

「ぬしは生まれながらの山の怪、わしも昔は人であったが、長い年月を経て身も心も山の怪となった」

「ぬしの母も昔は人であったと知っておろう?」

「今は山の怪じゃ」

「そう。じゃが、ぬしの母は、まだ山の怪になりきれておらぬ。人であった頃の記憶や考え方にまだ囚われておるのじゃ」

「迦具夜が光を得れば、母様は喜ばれる?」

「迦具夜、やめよ。陀羅尼丸もいずれ判る」

「母様が嘆かれるのは嫌じゃ。父様、迦具夜の額の目を塞いで。そうすれば、二つの目は見えるようになるよねぃ?」

「それがどういうことかわかっておるのか? 額の目を塞げば、目が見えるようになる代わりに、お前の失うものは大きいぞ。心も見えなくなる、未来も見えなくなる。今まで見えていたものがいっぺんに見えなくなるぞ。それがどれほど辛くて苦痛か判っておるのか」

「よい。迦具夜は、本当は前から光に憧れておったのじゃ」

「母様のお顔が見たい。父様のお顔が見たい。ここは暗い。明るいところへ行きたいよぅ」

「ならん」

「なんでェェェ。父様のバカ! おたんちん! もう頼ないんだからねぃ。自分でするよぅ」

「ぬしにできるわけなかろう……」






「イサビ殿……。お話が」

「うん?」

「しばらく家を離れようかと」

「迦具夜がことか?」

「はい。理性ではわかっているつもりですが、よくない事ばかり考えてしまって……。ふと心に思ったこともあの子は感じてしまいます」

「陀羅尼丸、今家など空ければ迦具夜はもっと悲しむぞ」

「そこなんですけどねぃ」

「迦具夜は、人の気持ちを見ます。良い物なら問題は無いのですが、悪い物、隠しておきたい事まで無制限に見てしまっては、今のように迦具夜が辛くなる。山にいる間は心配も無いのでしょうが、山を下りて人の世界にいけば、悪意に飲み込まれかねません」

「ふむ……。迦具夜が力を上手く使えるようになるまで、力を封じるのも手かもしれんの」






「母様のお顔、見たいな」

「これ、熱を出しているんだから大人しく寝るんだよぅ」

「もう大丈夫だよぅ……」

「大丈夫じゃない。お前は二日も寝込んでたんだからねぃ」

「迦具夜の顔はどう? 母様に似てる? かわいい?」

「どちらかと言うとイサビ殿に似てるかねぃ?」

「見たいな〜。母様と父様と、迦具夜の顔。あ、あとエビスと山の怪も。赤いのは夕日、緑は山、青はお空、白は、えーと」

「……迦具夜はねぃ。頭のてっぺんからつま先まで真っ白で綺麗だよぅ。お目目は真っ赤で、まるで宝石みたいだ。お前が生まれた時ねぃ、イサビ殿が、闇に白く輝いていると言って迦具夜(かぐや)と名づけたんだよぅ」

「母様、もっと、お顔近づけて?」

「どうしたぃ?」

「ああ、母様、綺麗ねぃ。まだよく見えないから、もっとお顔を近づけて……」

「迦具夜、お前目が見えるのかぃ!?」






「……お前は大した奴じゃの」

「なんで?」

「一人でようやったの。何も見えなくて、さぞ怖かったろうに……」

「うん、怖かったよぅ。あんな辛いのはもう二度とごめんじゃ」

「迦具夜、かみそりなどでなにをする!」

「髪を短くするのじゃ」

「あ〜〜。せっかく綺麗にのばしておったというに。そんな散切り頭にしおって。陀羅尼丸がビックリするぞ」

「森で遊ぶと、髪の毛が引っかかってうるさいのじゃ」

「部屋の外へ出るのを嫌ったぬしが、今では毎日山遊びか……。大人しい子だと思っていたが、違ったようじゃのう。おや? 髪に色がついてきたの。まだらの犬か猫みたいじゃ」

「父さま酷い!」

「いつも山から真っ黒に汚れて帰ってくるじゃろう? 犬だか迦具夜だか判らんぞ」

「迦具夜は将来母様みたいな美人になって父様を見返してやるのじゃ!」

「迦具夜、後悔はしておらぬか?」

「ちっとも。心は見えなくなったけど、父様や母様は迦具夜の事を愛してくれると判るからいいのじゃ

。未熟ものの迦具夜には、心を見るのも未来を見るのも過ぎた力。力に振り回されるよりはこの方がいい」

「さすがわしの娘じゃの〜」

「ていうか〜」

「ていうか?」

「目が見えるようになって、毎日山遊びができるのじゃ〜。面白おかしく暮せるからこっちのほうが良い!」






20070629 UP
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