いろいろ途中経過をすっ飛ばしてハッピーエンドな女エビ
「若様もお姫様も、準備は出来たかー?」
「できたよぅ!」
「じゃ、お父様の所にお年始の挨拶に行っておいで。お客様がいらっしゃるから、失礼のないようにな」
「三須丸っ! 言ってる側から逃げるな! 摩陀羅丸捕まえてくれ!」
「やだよぅ! アタシは遊びに行きたいんだよぅ」
「お前の逃亡癖はだれに似たのかな? ったく。お父様とお客様が良い物くれるから我慢しろ!」
「母様昔施設から逃げたんでしょ? 姉様がお腹にいる時も逃げたんでしょ? だったら母様だよぅ」
「ウッ……。母親似か……」
「……陀喜尼丸さん、悪いけど皆見張っといてね」
「はい、お母様。おいクズども、父様と母様に恥かかせたら承知しないからねぃ。弟なんぞがアタシのした命令以外の事をする資格があるとでも思ってるのかぃ?」
「姉様横暴!」
「黙って歩け。弟なんざ、姉であるアタシの下僕なんだよぅ。早く生まれなかったことを悔しがるんだねぃ」
「くそ……、弟舐めやがって」
「父様、陀喜尼姉様が苛める!」
「アラお前、正月早々泣かされたのかぃ?」
「苛めてません。父様、三須丸の嘘です! 嘘泣き、猫被り、他人を陥れること、生きるためには何でもやる奴です」
「父様、アタシお年玉はいらないから、弟か妹が欲しいよぅ」
「三須丸、下僕が欲しいなら、ドブ川を見るんだ。落ちてるかもしれないよぅ」
「五嶺様、それって誰の事ですか……」
「わぁ、同じ顔がいっぱいで壮観だね〜、ムヒョ」
「……ヒッヒ。よくもまぁ、これだけ五嶺そっくりの子をこさえたもんだナ。エビス、テメェは五嶺のクローン製造機か?」
「褒められると照れるぜ」
「褒めてねぇゾ……」
「草野、アタシからのお年玉だよぅ」
「摩陀羅丸君、それって、僕から君にあげるんじゃ……」
「アタシに恥をかかせるつもりかぃ、草野裁判官?」
「い、いえ。摩陀羅丸執行人。いただきます」
「うむ。貧しい食卓の足しにでもしておくれ」
「中身も五嶺さんだよ……、ムヒョ」
「ヒッヒ、厄介だナ」
「これだけアタシの分身みたいなのがいると、五嶺魔法律事務所の魔法律界征服も近いねぃ」
「そのようで……」
「なんか五嶺さんの夢が大きくなってるよムヒョー」
「ヒッヒ、厄介だナ」