嵐の夜にネタでイサ五妄想









「なんて酷い嵐だろ! こんな所に小屋があって助かったねぃ。それにしても真っ暗……」

「突然の嵐、ぬしもわしも災難じゃったの」

「アラ、こんばんは。先客がいらっしゃるとは知らず失礼いたしました。酷い嵐ですねぃ」

「そうじゃな」

「心細いので、ご迷惑でなければお話していただけるとありがたいんですけどねぃ」

「一人きりでは退屈じゃと思っていたところじゃ、願ってもない」

「アタシ、きのうこちらへついたばかりで。山を偵察しようとしたら、こんな嵐にあってしまってびっくりいたしました」

「なぜこの地へきたのじゃ?」

「それはここにいい獲物がいると聞きまして。アタシ、奴の好物のきむすめの陰陽師……なんですよぅ。きゃあ! ゆ、油断させて狩ってしまえば良い金になると思いやってまいりました」

「その腹黒いところは気が合いそうじゃ。にしても凄い雷じゃな」(雷でよう聞こえなんだが、き……、禁魔法律家と言ったかの?)

「奇遇じゃの。わしも同じきんまほうりつかじゃ。(人間を)狩りに来たんじゃな?」

「また大きな雷!」(よく聞こえなかったが、同じと言った……? この人も陰陽師なんだねぃ)

「ええ、(禁魔法律家を)狩りに来ました」

「わしは山から来たのじゃ」

「えっ、山は奴らの住処だと聞いていましたが」

「昔はそうじゃったが、今はわしのものじゃ」

「すでに山にいる奴を狩ってらっしゃったとは……。アタシ、こちらについたばかりからよく判らなくって。骨折り損のくたびれもうけでしたねぃ。残念ですがまた他の地へ行く事にします」

「いや、そう悲観する事は無い。山にはおらんが、里にはまだ沢山おるからそれを狩れば良い」

「沢山!! 沢山だとアタシではとても歯が立たない……」

「大丈夫じゃ。これも何かの縁。わしと一緒に狩りに行こう。こんな所で同胞と知己になれて嬉しいぞ」

「ありがたいお言葉ですねぃ。アタシ、五嶺陀羅尼丸と申しますが、よろしければお友達になってくださいませんか」

「もちろんじゃ! 山のわしの家に招待しよう。明日、ここにまた来れば案内するぞ。えーと、会うて誰か判らんといかんから、合言葉を決めよう。合言葉は……」

「あらしの夜に」

「それはいい。わしの名はイサビ。明日ここで会おうぞ! お互い顔を見たら合言葉を言うのじゃ!」



「イサビ殿、禁魔法律家だったんですか!」

「陀羅尼丸、ぬしゃ生娘だったのか!!」


 そんなこんなで、生娘を食べたいイサビ殿が悶々としたり、隙あらばイサビ殿を狩りたいゴリョ様が「アタシを食べて」とか言い出したりてんやわんやの末ハッピーエンド





20070501 UP

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