情事の後の気だるい雰囲気を引き摺ったまま、ギレンが普段は吸わぬ煙草を口にした。見計らったように、ギレンの肩にキシリアの白い腕が回される。薄闇に火が灯った。
女の細い指によって灯された小さな炎は、ギレンの顔を照らし、ギレンの肩に顎を乗せたキシリアの顔を照らす。
少し冷えるな。とギレンが呟くと、どうぞ。とキシリアがギレンの肩にシーツをかけた。自らもそのシーツに包まり、ギレンにぴたりと身を寄せる。
甘えてギレンに抱きついたりはせず、背中合わせに。
あくまでも対等だと言っているのだ。この女は。その生意気な態度も、ギレンはなぜか不愉快ではない。
キシリアが、ギレンの耳元で何かを囁く。その言葉を聞いたギレンが、人が悪そうに笑い、キシリアに囁き返した。
ギレンの返答に、くつくつとキシリアも笑う。笑いながらギレンの煙草を取り上げ、一吸いし、またギレンの唇に返した。
二人が吐き出した白い煙がゆらゆらと立ち昇り、絡まって曖昧に消えていく。
ベッドでの睦みあいさえも、お互いを探る手っ取り早い手段でしかない。
だが、なぜか、背中に感じる相手の肌の感触と、その体温は決して不愉快なものではなかった。
心を許してなどいない、愛の無い行為なのに、どこか張り詰めた緊張のなかに、一筋の甘さがあった。
例え同じ方向を向く事は無くても、誰よりも魂を近くに感じる。陰と陽のように、相反する性質が、惹かれあうように。
それが、所詮まやかしなのかどうかはどうでもいい。
敵だろうと味方だろうと、離れられぬのだろうとそう思った。
ENDE
描いた後、「キシリア様ぶさいくだなぁ〜」とミクロタカナがしみじみ言っていた。
じゃあ可愛く描いてやれ!
浮いてるねぇと言いながら某所に投稿した記念碑的作品。
外国映画とかでよくある、手っ取り早く相手を知るために寝る二人。
とかミクロタカナが最初言ってたんだが、今、
「今まで仲悪かったのに、いきなり激しく口付けたリ、いきなりエッチしたりして、
その後なんか仲良よさげになり見ている方がは?ってなる感じ」
と訳のワカラン事を言い出した。
「ヨーロッパ映画でありがち」と本人は主張する。
ええ〜。じゃあ書いた文章間違ってるだろ〜〜。
なぜこんな事になったのだろうと自問自答したが、答えは見つからない。相手を非難する事しか知らなかった唇が、愛しげにギレンの名を呼び、唇を求めるなんて、今でも自分のした事を信じる事ができない。
罵りの言葉を吐く唇を強引にふさがれた。
抵抗していたのは、最初だけ。
一度目のキスの後、目と目で相手を探り、二度目のキスは、気が付けば自分から。ギレンのそのキスを、まるで待っていたかのように、奪われたキスを、奪い返すように激しく口付けた。
後はもう、飢えた獣のように相手を貪る。
自分を見るギレンの目に、自分に対する愛情など露とも感じたことは無かったのに、抱かれている間中、この男は私の事を愛しているのだとはっきり確信できた。
だが、嵐のような時間が過ぎると、何時でも自分を悩ませる、悪魔のような存在だと思っていた男の胸に抱かれ、甘い吐息を吐くなんて、どうかしている。と、またそう理性が言う。
やってしまったものはしょうがないと腹をくくっているが、本当はどんな顔をしていいのか判らない。離れられず、同じシーツに包まり、背中合わせでギレンと肌を触れ合うが、抱き合って愛を囁くほど甘い関係じゃない。同じベッドの中にいるのに、背中合わせのこの関係が、今の二人に相応しい。
ギレンが煙草を口にくわえたので、ライターで火をつけた。炎に照らされるギレンの端正な横顔を見ながら、でも、悪くない。と思う。その横顔が、胸に焼きつく。ギレンを見て感じる、切ない疼きに、内心頭を抱える。
次に会った時は、どんな顔をすればいいのだろう……。
また自分に問い掛けた。
何も無かったように、また会議室で相手を責めるのか、それとも、二人きりのエレベーターの中で口付けを交わすのか。
それはその時決める事。
ただ一つはっきりしている事は、ギレンとの関係は、すっかり狂ってしまったということだ。
ENDE
こんな感じでいいんですか? どうですか?
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